格好ぐらい つけさせて

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格好ぐらい つけさせて

マカオで久しぶりに会った凜は、前よりキレイになっていた。 僕の強い視線に気づいたらしいソウマは僕の前で凜の腰に手を回すと、凜の頬にキスをした。キスをしながら、僕をチラッと見てくる。なんなの、その勝ち誇った顔は。大人気ないね。 やっぱり、ソウマは好きになれない。前言撤回。 その後、マカオでは凜が世界一高いバンジージャンプにトライした。 僕は前日に体験済だったけど、凜も勇気あるなぁって思ってたら、ハイスクールの時に校舎の屋上から飛び降りそうになったことがあったって。ソウマが笑って教えてくれた。凜はどうゆうハイスクール時代を送っていたのだろう? 凜は黒歴史って笑っていたけど、僕からしたら、あまり笑えない。 多分、凜が辛かった時にそばにいたのはソウマっていうこと? イヤでも二人の築いてきた時間の長さを感じさせられる。 マカオに滞在している間、凜たちとは一緒に何度か食事もした。中華料理は大皿料理だから、手元を見る機会も多くなる。ついつい凜の左手にはまっている指輪に目が行ってしまう。 凜の左手の薬指にある指輪はジョーイとの結婚指輪。 ソウマはそれで納得しているの? ソウマが海の方でノアとじゃれている時、凜に思い切って聞いてみた。 「指輪、外さないの?それジョーイとのでしょ?ソウマとの指輪は?」 「外さなくていいって、言ってくれたから」 ソウマ、自分だって必死に格好つけてるじゃない? 僕は凜の左手を手に取ると、指輪の上に軽くキスをした。 凜は驚いてたけど。 その様子を見たソウマはノアを抱え上げて、こっちに向かって必死になって走ってきた。 余裕なんてないくせに、あるふりする方が悪いんだよ。
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