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初恋
僕だって15歳だ。ガールフレンドくらいいるし。健全な男子だから、もう経験もしたけど。でも初めての時、相手が凜だったら良かったなという想いが頭をよぎった。凜に触れたいと心から思った。凜は僕の初恋の人だから。
凜は無自覚なところがあるから、きっと気付いていないだろうけど。僕は凜がずっと好きだった。多分、初めて会った時から。ジョーイの愛した女性だから、母親みたいに考えなきゃいけない存在のはずなのに。最初から母親とか、そんなの全然無理だったし。いいとこ、お姉さん程度。これもギリギリ。
ジョーイの家で凜と一緒に同居していた時間はとても楽しくて、たまに凜が僕を頼ってくれるのがすごく誇らしかった。
10日に1回ぐらいのノアとのビデオコールを通して、日本にいる凜からスチュアート家の動きがちょっとヤバいらしいことを聞いてはいた。だけど緊急避難のために、あのドクターと同居していると聞いたとき、僕はすごく不機嫌になった。
まぁだからって、凜をスチュアート家が暮らすアメリカに呼ぶわけにはいかないし。進路を決めかねていた僕自身も日本に行く勇気もなくて。
そんな鬱々としている時に、いきなりセラ ソウマから連絡があった。
ノアが凜の妹に連れさられて、こっちに向かってると電話をもらった時は、いきなりのことで驚いたけど。正直手伝いたいという気持ちとなんで凜から直接連絡がないのかっていうフラストレーションに近い感情が合い半ばしていた。それを察したらしいソウマはすぐに説明してくれたけど。
「凜が倒れたから」
ソウマからそう言われたら、動かないわけにはいかない。
彼からノアがいなくなった経緯を聞き出す。
ほとんど話をしていない一緒に暮らすだけの生物学上の父親に初めて力を借りた。
父親は最初、僕からの相談に渋面で、これは無理筋と諦めかけた。でも僕の切羽詰まった様子をみて、適切なアドバイスと的確な判断をしてくれたんだと思う。
悪い人じゃないことぐらいは知ってたけど。割と頼りになる人だったらしい。
ジョーイとの経緯もあるから、その時まで良好な関係を築くことが難しかったんだよね。
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