初恋

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空港の到着ゲートで二人を待つ。待つ時間がとてもとても長く感じた。 ノアが女性と手をつないで出てきた。あれが凜の妹?雰囲気が違い過ぎる。 「ノア」 僕の声にノアの視線が上がる。女性が慌てたようにノアを抱きあげた。 「マシュー」 ノアが僕の名前を呼ぶ。僕は走りだす。ノアは必死になって僕の名前を呼び続け、手を僕の方に必死になって伸ばそうとしている。 暴れるノアを支えようとして、女性のバランスが崩れそうになる。反対側からスーツ姿の3人も走りだした。スチュアート家の回し者?あの3人にまとめて来られたらヤバイ。走るスピードを上げる。あの時の僕は瞬発力で勝負するしかなかった。 手を伸ばしたノアをその女性から奪うように抱きあげると、屈強な感じの3人組は空港の出口へ方向を変えた。空港スタッフも近づいてくる。皆、パトカーのサイレンの音に気付いたんだと思う。あの父親、結構つかえるじゃん? ノアを抱きしめたのは赤ん坊の時以来。かなり重くなったと思う。 目の辺りが凜に似てきた。見た目はほとんどジョーイなのに。 ノアは僕の家に向かう車の中で、泣き疲れたのか僕の腕の中で熟睡している。 眠っているノアの目元はソファーでウトウトしていた凜にそっくり。 僕はノアの瞼に軽くキスをした。 凜に褒めてもらわなきゃね。ちゃんとノアを見つけたよ。 ノアを抱きしめる力が強くなる。
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