「月曜の朝」

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「月曜の朝」

白いような、微かに黄みがかったような、淡い光。ふわりふわりと空気中の塵が照らされている。1日の始まりが既に訪れているのは頭では分かっているが、思考を支配するのはその白とは真逆の光景。脳裏にちらつく、あの人の身体、声、強い力。現実として視覚でとらえているさわやかな光の中に、フラッシュバックする。 昨夜、どうしてあの人がここに来たのかはわからない。いつも通り帰ると思っていた。そこがあの人の表舞台だから。わからないなりにいくつか想像はできるけれど、そのどれもが不確かで無意味だ。ともかく今は、数時間前まで存在していたはずの温もり、重み、厚みを想い返していたい。手に入らないはずの感触。昨夜のあれは進展だったのか、気まぐれか。 下腹部に甘い記憶を感じつつ、それを潤してしまうには時間がないことに口を尖らせる。余韻を心に残しておくほうがあとで顔を合わせたときに再燃しやすいかもしれない、と上機嫌な思考で身を起こした。立ち上がり大きく伸びをして、一呼吸おいてから乱れた布の集まりを見下ろし、ほくそ笑む。
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