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なんでこうなったんだっけ。 この後、どうすればいいんだろうか。 目の前で、どんぶりについだご飯を 豚の生姜焼きをおかずにかき込むひとを見ながら、なんとなく考えてみる。 1杯目は普通のお茶碗でご飯を出した。 そしたら、数口でなくなってしまい、そっか、足りないよねと、2杯目からどんぶりに変えた。 でも、普段うどんやラーメンを食べるそのどんぶりさえ、大きな手でお茶碗のように持っている。 ✳︎✳︎✳︎✳︎ 「沙耶に紹介したい人がいるんだけど。彼氏のいっこ下の後輩?チームメイト」 「充さんの?」 「そう」 同期で看護師の井村咲から、こんな誘いがあったのは3ヶ月前。 今年に入り、すでに何回目かの豆乳キムチ鍋を、私の部屋で食べていた時だった。 もう、桜も散って、今シーズン最後の鍋になるだろうな、なんて思っていた矢先。 勤め先の病院に同期入職した咲は、リハ職の私と職種は違うが、説明会の時から仲良くなった。 5年目の今では仕事終わりに月に2、3回は一緒にご飯を食べる、数少ない友人の1人。 さばさばしていて、定時に帰ることだけを考えてガシガシ仕事をこなし、残業になりぼやきながらも頼りにされている、仕事のできる人だ。 そして、高校生の頃からの付き合いだという咲の彼氏、高橋充さんは、 Bリーグのチームプレーする、プロスポーツ選手だ。 初めて聞いた時は驚いた。 メジャーな野球選手でも、チーム数の多いサッカー選手でもなく、バスケットボール選手。 部活でバスケをしていたクラスメイトはいたが、社会人になり、現役のスポーツ選手に初めて会うには、いささかマイナーな気もする。 「うん。どうしても、彼女?異性の知り合い?を作ってあげたいらしくて。中川さんって言うんだけど。私も直接話したことはないんだけどねー、バスケ一筋みたいだよ。バスケは上手い。社会人4年目で、チームのエース」 「ふーん。合コンとかのノリじゃないって事?」 「社交的なタイプじゃないみたい。普段は無口らしいし。試合中は普通にコミュニケーション取ってるけどね」 「へぇ」 「ほら、私達医療職はコミュニケーション意欲あるでしょ? 沙耶もよく喋る方だし、どうかなって」
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