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「コミュニケーション意欲とかそういう問題?相手に興味関心があるかどうかじゃない?」
市販の豆乳鍋スープにキムチ鍋の素を混ぜ、
レタスをしゃぶしゃぶしながら食べる鍋は、
平日にニンニクを食べたくない私に咲が配慮してくれ、冬場の週末の定番になっていた。
咲曰く、女性ホルモン大事だから、と。
「沙耶は年下、大丈夫?」
「いっこ下でしょ?今まで、年下を異性として意識した事ないんだよね。弟と同い年かぁ、って思っちゃう」
「弟くん年子なんだ。でも、彼氏って意識しなくていいよ、異性の友達?みたいな?」
「んー。ま、相手が私なんかでいいなら」
「じゃ、オッケーで充に言っとくよ。シーズンオフになってからだから夏頃になると思うけど」
「夏…気長に待っとく」
人口130万人の地方都市であるこの街は、プロ野球チームとJ1に所属するサッカーチーム、男子バレーボールチームなど、いくつかのプロスポーツ団体のホームになっている。
スポーツ観戦は身近で、県内出身だがこの街が地元ではない沙耶も、年に数回は誘われて野球観戦をする。
でも、正直なところバスケの試合は見たことがない。
スポーツニュースで時々流れているが、結果なんてあまり気にしていなかった。
咲も沙耶がそれほど興味がないのを知っているので、あまり誘って来ない。
咲は地元が近い為、バスケ観戦には彼氏と共通の友人である、高校の同級生達と行く。
咲の彼氏である充さんも、
咲が「充」と呼び捨てにするので、名前呼びが定着したが、ゆっくり話をしたのは一度食事をした時だけだ。
身長190cm以上ある、ガッチリとした体つきの、大きくて快活な人という印象。
咲とは高2からの長い付き合いで、スポーツ推薦で大学入学が決まった充さんを咲が追いかけて、近くの私大看護学科を受験。
そして、充さんがBリーグの地元チームからスカウトを受け、咲も地元に戻り病院に就職した。
忙しい中、ずっと付き合いを続けている2人。
咲の行動力もすごいが、充さんもかなりマメな性格のようで、会えない時も連絡はよくあるらしい。
このオフには結婚する2人。
そんな充さんがチームでも慕われており、後輩の世話を焼く気になったのも何となく分かる気がする。
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