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「中川良です」
充さんによる、「これが後輩の中川。普段は無口だけど、試合じゃめちゃ熱い奴だから」という、
すでに咲から聞かされていた情報と同じような紹介の後、
ペコっと頭をさげ、低い声で彼は名乗った。
充さんより少しだけ低いが、身長は180cmをゆうに超えている。
155cmしかない沙耶は30cmの差を見上げた。
思ってたより線が細いな、というのが最初の印象。
耳にかかる程度の黒髪は、シャワーを浴びた後、ガシガシ乾かしただけで、セットした感じはない。それも、好印象だった。
「初めまして、蓮井沙耶です」
「沙耶ちゃんは咲の同僚な。ま、詳しい紹介は
後にして、とりあえず、お店に行くか。練習後で腹減ったよな」
後ろ姿を見ると、薄手の生地越しに感じる肩甲帯や上腕は一般人のそれとは違う。効率的に鍛えている筋肉だ。
手も足も大きい。
VネックのTシャツに、ジーンズ。
シンプルな服装だが、長身の2人が並んでいればそれはそれで目立つ。
昼食を食べるお店は決まっていて、前を歩く2人の後ろを、咲と並んでついていくが、振り返って見る人もいて、
咲は好奇の視線に慣れているのか、平然と話しかけてくる。
身の置き所に困りながらも、アーケードから外れて裏道に入り、すぐにお店に着いた。
このお店は、咲とも来たことがある、70席ほどの少し広めのカフェレストラン。ドリアが有名で、サラダバイキングが充実している。
案内された4人席に私と咲が並んで座り、向かいに充さんと中川さんが座った。
4人ともそれぞれドリアを注文したが、向かいの2人はさらに単品のチキンソテー、ミックスフライ、スパニッシュオムレツを注文していた。
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