73人が本棚に入れています
本棚に追加
暫く頭を撫でられていたが、良くんの「そろそろ帰る」の一言で、終わりを告げた。
男の人は身軽だ。
ソファーから立ち上がっただけで、帰り支度が済んでしまった。
「また、来る。いつならいい?」
ドアノブに手を置いて、振り返るとそう言った。
「別に予定が無ければいつでもいいんだけど、来るときは事前に連絡して」
「…分かった。おやすみ」
良くんは、目尻を下げ、少し自嘲気味に笑った。
閉まったドアの前で、ため息をつく。
「お風呂入ろ」
今日1日でかいた、純粋な労働の汗と、キャパオーバーのための変な汗を洗い流そう。
良くんの行動を考えてみても、都合よく行く訳がない。それに、天邪鬼な私は、過去の経験からも、拗らせてしまうのは分かっている。
湯船にしっかり浸かる。余計なことは考えずに、眠るために。
最初のコメントを投稿しよう!