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この高揚感は、周りの空気に飲まれているからだけじゃない。
今だって、アップを終えた良くんが控え室に向かう時に、目が合い、心臓がドキンとした。
「すごい盛り上がってるね。始まるのが楽しみ」
「うん。本当」
しばらくして、チアリーダーに迎えられ、メンバーが入ってきた。モニターに映される選手紹介、登場のライトアップ。演出が会場のボルテージを一気に上げていく。
バンバンと響くメガホンの音。
試合が始まってしまうと、私も夏実も夢中になった。
目まぐるしく変わる攻守に、10分のクォーターはあっという間に過ぎていく。
初めてだったので、掛け声など戸惑う事もあったけど、見様見真似で声を出す。
止む事のない歓声。野球観戦とは全く違う興奮がそこにあった。
私の目は、常に良くんを追いかけていた。
パスを受け、素早くゴール下に入ったかと思えば、シュートを打つ背中。
大きな外国人選手を交わし、3Pシュートを打つ手。
ノールックでパスを回す表情。
メガホンを握った手に力が入りっぱなしだ。
結果、オルカは19点の差をつけ、勝利を収めた。
この日の最多得点を取った良くんに、大きな拍手と「リョー!」と歓声が上がる。その歓声に両手を上げながら、いつもの様にペコっと頭を下げて応える。
やっぱり、すごい人だ。
それでも、40分の試合中、何度か目があったのは気のせいではなかったはずだ。
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