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興奮冷めやらぬ中、家に帰ってシャワーを浴びた後、置きっぱなしにしていたスマホを見ると、良くんから不在着信があった。 数分前に電話がかかってきた様だ。 慌ててかけ直すと、すぐに繋がった。 「もしもし?ごめんね、気が付かなくて」 「や、別に。試合来てくれたお礼をと思っただけ」 「お礼を言うなら私だよ。こちらこそ、招待してくれてありがとう。凄い迫力だった。バスケってすごい展開の早いスポーツなんだね。ついていくのがやっとだったけど、楽しかった。良くんも、かっこよかったよ。いつもと違う雰囲気だったし」 「あぁ。…ねえ、部屋行っていい?」 「え?」 「いつものコンビニにいる」 「うそ」 急な提案に大きな声がでる。会えるのは来週だろうと思っていた。 「無理なら帰る」 「いや、大丈夫。シャワー浴びちゃったから思いっきりすっぴんで申し訳ないけど」 「じゃ、お邪魔します」 試合で疲れてるだろうに、急にどうしたんだろう。 しばらくすると、インターホンが鳴り、オートロックを解除した。玄関のチャイムで鍵を開けると、さっきまでスポットライトの中で、沢山の人の声援を受けていたひとがいる。 「お疲れ様」 「遅くに、悪い」 「いいよ。明日、有給消化で休みなんだ。最近、会社員は年間で最低5日間の有給消化をしないといけないから」 会社員でない良くんには、関係のない話だけど。 「ふーん。俺も明日オフ」 「試合の次の日はオフなの?」 「大抵は。遠征があると変わるけど」
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