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亮翔はにっこりとイケメンスマイルを浮かべて言う。しかし、嘘は言っていないものの、何だかぼかした言い方だ。さすがは腹黒と千鶴は呆れてしまう。
「はあ。確かに怖い顔をした仏様が描かれていますが」
何だそんなことかと直義は溜め息を吐いたが、警戒を解いた様子はない。むしろその巻物について何か質問かと警戒しているようだ。
「ええ。お祖父様の徳義さんはご存じですよね」
しかし、そんな警戒は無視し、亮翔は直義の横で硬い顔をしている徳義に話題を振った。
「ええ、はい。たしか大威徳明王だと」
「はい、そのとおりです」
やはりちゃんとどういう絵なのか知っているわけだ。では、むやみに怖がる必要はないことも知っているはず。一体どうしてだろうと千鶴と百萌は顔を見合わせていた。
「この大威徳明王に関して、お二人はよくご存じですよね」
そこに亮翔の遠慮のない問いが飛ぶ。それに直義も徳義も僅かに目を伏せた。それはもちろん知っているということだろう。しかし、何とか誤魔化したいと思っている感じだ。
「この仏様の絵は飾って厄除けにすることもできる、素晴らしいものですね。それなのにずっと倉庫に仕舞いっぱなしになっていたとか。実に勿体ないですね」
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