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もそもそと言い訳するように喋っていた父の直義の言葉に、百萌が呆れたとばかりに声を上げた。楚々としたお嬢様がそう怒るというのは予想外で、千鶴だけでなく説教していた亮翔も目を丸くしている。
「いや、その」
「継ぐ人がいないのに借金できないとか、そういうことを考えていたんだとしたら、それは間違いです。私はこの望月旅館を継ぎますから」
百萌は真っ直ぐに直義を見て告げる。直義はどうしましょうとばかりに徳義を見た。
「い、いいのか?甘い商売じゃないぞ。それに、遊んでいる暇なんぞ一切ない、厳しい業界だ」
「ええ、それは母を見ているので百も承知です。ですが、私は母と違い、ばんばん経営にも口を出そうと思っています。ですので、そのためにも大学に進学することにしました。ええ、今決めました。勝手に家宝を売って、今度はその直後に出てきた大威徳明王に怯えていたなんて、本当にびっくりでもう」
そこまで一気に捲くし立てたところで、百萌はふと我に返ったようだ。呆れるように自分を見返してくる父と祖父を見て、あらと顔を赤くする。
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