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大人の男の掟として、胸に蛇の刺青を入れることも無く
村人から一人前の男として扱われていないのだが、
村の女達は、トジミミの利口なことを知っていて
頼りにしているところが有った。
村の男たちが耳を傾けないような悩み事を
身ぶりでトジミミに打ち明ける。
すると、トジミミは判るまで熱心に心を傾けた。
女たちは、潜り漁から戻って
冷えた身体を温めるために祓い場によるから、
湯を沸かして待っていた。
それは、子供のころからトジミミの役目で、
そのための水汲みのせいで上腕や胸が、
刺青の男たちに負けないほど逞しく発達していることも
村の女たちは知っている。
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