3、ウズミネの屋敷

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「ポンタルラ、とは何のことだ?」 「ウズミネ様は、ホトケ、をご存知でしょうか」 「ああ、シルラで祀る神だな  像を見たことが有る」 以前、シルラ人に見せてもらった 掌にのるほどの小さなホトケの像を思い出した。 丸い皿のような花の上に、片膝を立てて座り 片手を頬にあてて小首をかしげた 愛らしい少女のような金の像だった。 (これが?シルラ人の神なのか?) ムナカタの祀る神は「龍」である。 それは、ムナカタの男たちが操る船を 守って運ぶ、玄海の海流のことに他ならない。 ムナカタの神は人の命を奪う、恐ろしい神だった。 ウズミネは「ホトケ」を初めて見たとき シルラの人々は、いったい 少女のように可憐なこの像に手を合わせ 一体何を祈り、頼るのであろうかと 可笑しく思ったものだった。
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