1、漂着

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そして、ウズミネは 二重の虹の端が落ちたあたりの波間に 黒い点が揺らめいているのを、みとめたのだった。 (まさか…この荒れた海に船を出す者がいるはずはないが) 目を凝らす。 黒い点は波に揺られながら だんだん近づき大きくなってくる。 それ自体の意思が有るかのようにスルスルと 入江に滑り入り、一直線に海岸に近づいて来る。 今や、それは疑いようもなく、 一艘の丸木舟であることが分かった。 波斬りのために両端が跳ね上がるように削られた丸木舟。 人影は、ない。 というか、どうやら天蓋のはまった「ウツロ船」のようだ。 そして、それはついに、砂浜に打ち上げられたようだった。
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