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「今朝、ムナカタのアコヤから便りが着いた。
一体何者なのだ、ムナカタの女神とは」
「私のところにも、知らせが再三入っております。
女神は、もちろん、人間ですよ。
それもシルラ人だそうです。
この春、ペクチュの反撃でシルラの後宮が燃え落ち
多くの官女が殺されたそうですが
タンラ(済州島)まで逃げ落ち、
海に身を投げた者も多かった。
どうやらその中の生き残りが
漂着したのではないかと」
「シルラの後宮の女、ということか」
「まあ、そんなところでしょうな」
数年来コリョ(高句麗)の勢力南下が激しさを増す中、
半島南部の覇権(鉄の鉱脈)をめぐって
ペクチュ(百済)とシルラ(新羅)とは争いを繰り返していた。
シルラは、どうにか宋と同盟を取りつけたはいいが劣勢で
前線地に兵力を充実した分、都が手薄となり
ペクチュに城郭を襲われたということだった。
タケルにとっても、シルラの明暗は他人事ではない。
ペクチュが鉄の産地を抑えたら、鉄の輸入に大きな影響を与える。
にしても…何故女神なのだ、解せない。
「なんでそんな女を、女神としてを祀るのだ
アコヤは、ウズミネが乱心したに違いないと
書いてきているが」
「さあ…女神の意図についてはまだ分かりませんが」
アオは続けた。
「少なくともウズミネは
援軍を出す気は、ないでしょうな。」
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