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アオは懐から小巻物を取り出し広げた。
それは携帯海図で、
浪速から瀬戸内、筑紫、さらに玄海を渡って
対馬を伝い、朝鮮半島にたどり着くまでの
いわゆる「海北道中(うみのきたのみちなか)」の詳細なルート。
それに季節毎の潮流を書き込んだものだった。
ただし、玄海の道は知識が及ばずほとんど白紙となっている。
アオはそこを指差した。
「ここだけ、ムナカタの助けを借りるのです」
「タケル様の大船団は、先日お伝えした通り
ほぼ完成しております。
浪速津(なにわつ)
播磨の因達(はりまのいだて)
淡島、佐婆津(さばのつ)
穴門(あなと)
ムナカタに着くときは、ざっと20の軍船
3000人の船団です」
アオはいちいち、停泊地を指で指示した。
それぞれの港にクレハトリの造船所が有って
シルラ援軍のための船が完成している。
宋の水軍を模した新式戦船だった。
「航海演習がてら
大船団でムナカタに乗り入れましょう
ムナカタのウミヘビめらは
腰を抜かしますぞ」
アオは明るく笑った。
「ウズミネが
大人しく舵取りを出すだろうか」
「オオキミの大船団を見て、いやと申せましょうか」
(つづく)
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