16、ヤマト オオキミの宮殿

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アオは懐から小巻物を取り出し広げた。 それは携帯海図で、 浪速から瀬戸内、筑紫、さらに玄海を渡って 対馬を伝い、朝鮮半島にたどり着くまでの いわゆる「海北道中(うみのきたのみちなか)」の詳細なルート。 それに季節毎の潮流を書き込んだものだった。 ただし、玄海の道は知識が及ばずほとんど白紙となっている。 アオはそこを指差した。 「ここだけ、ムナカタの助けを借りるのです」 「タケル様の大船団は、先日お伝えした通り  ほぼ完成しております。   浪速津(なにわつ)  播磨の因達(はりまのいだて)  淡島、佐婆津(さばのつ)  穴門(あなと) ムナカタに着くときは、ざっと20の軍船  3000人の船団です」 アオはいちいち、停泊地を指で指示した。 それぞれの港にクレハトリの造船所が有って シルラ援軍のための船が完成している。 宋の水軍を模した新式戦船だった。 「航海演習がてら  大船団でムナカタに乗り入れましょう  ムナカタのウミヘビめらは  腰を抜かしますぞ」 アオは明るく笑った。 「ウズミネが  大人しく舵取りを出すだろうか」 「オオキミの大船団を見て、いやと申せましょうか」 (つづく)
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