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林くんは当たり前のように名前呼びを受け入れて、大げさに手を叩く。
「バレたか! って、オレは意外と気遣えるタイプよ? 世那が炭酸苦手ってことも知ってるし」
「何で知ってんの!」
「見てれば分かるって」
けらけらと笑う林くんの背中を、世那が叩いた。
全然知らなかった……。
私は世那の友達だけど、何にも知らないんだなあ。
「どうやったら、仲良くなれるのかな」
零れた言葉は、誰に向けたわけでもなかった。世那でもあるし、円城寺でもあるし、クラスメイトでもある。そんな漠然とした呟きを、林くんは拾い上げる。
「王道なのは、やっぱ一緒にいる時間を長くすることじゃね? そんで、相手をよく見ること! そしたら、自然と相手のことも分かるし、自分のことも相手に伝わるから」
「一緒にいて……相手をよく見て……」
「あんまり自分を押し付けないってのも大事だな。とにかく、相手の話をよく聞く」
「自分を押し付けず……話を……? えっと、何だっけ?」
大切な項目が多すぎて混乱する私に、林くんは歯を見せて笑った。
「ま、一度腹割って話してみたら? 雪人のこと、気にしてるんだろ?」
「な、何で知ってるの?」
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