26人が本棚に入れています
本棚に追加
互いに25歳にしては、ぎこちなく、幼すぎる恋の始まりかもしれない。
しかし玲子にとっては、自然に、そして心休まる恋の始まりに感じる。
「今度、花冠の作り方おしえてくれませんか?」
「喜んで。季節も良いし、ピクニックでもしましょうか」
「じゃあ、祖母に、お稲荷さんの作り方おしえてもらっておきます」
はい。
すごく嬉しそうに、目の前の角野が笑顔を作った。
そんな彼の笑顔が、玲子の心を春の花畑のように躍らせる。
角野との再会からは、色々な偶然が起こった。
それが、向井が言うように「運命」かは分からない。
だが玲子は、宅見の時に感じたぼんやりとしたものとは異なり、はっきりとした
胸の高鳴りと共に恋の予感を感じ取った。
私、今ドキドキ、ウキウキしてる……。
そして、ひっそりと胸の内で呟いた玲子に隣の角野がもう一度微笑みかけ、
二人は、ゆっくりとシロツメクサが咲く丘に視線を向けていた。
最初のコメントを投稿しよう!