16 花冠とモンシロチョウ

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互いに25歳にしては、ぎこちなく、幼すぎる恋の始まりかもしれない。 しかし玲子にとっては、自然に、そして心休まる恋の始まりに感じる。 「今度、花冠の作り方おしえてくれませんか?」 「喜んで。季節も良いし、ピクニックでもしましょうか」 「じゃあ、祖母に、お稲荷さんの作り方おしえてもらっておきます」 はい。 すごく嬉しそうに、目の前の角野が笑顔を作った。 そんな彼の笑顔が、玲子の心を春の花畑のように躍らせる。 角野との再会からは、色々な偶然が起こった。 それが、向井が言うように「運命」かは分からない。 だが玲子は、宅見の時に感じたぼんやりとしたものとは異なり、はっきりとした 胸の高鳴りと共に恋の予感を感じ取った。 私、今ドキドキ、ウキウキしてる……。 そして、ひっそりと胸の内で呟いた玲子に隣の角野がもう一度微笑みかけ、 二人は、ゆっくりとシロツメクサが咲く丘に視線を向けていた。
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