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エピローグ
「お祖母ちゃん、本当に一緒に行かない?
桜、ちょうど見頃だし、巧さんも一緒にって言ってるわよ」
霧雨の告白から、2週間。
彼らの間に会話が増えるのも、互いに恋人としての関係が始まるのも、自然に
流れるようになっていった。
そして付き合い始めて間もなく、ちょうど桜が満開となり、花見デートに行こう
という訳だ。
「いやね、ひとの恋路に首突っ込むほど野暮じゃありませんよ。
桜は、今日じゃなくても見られるから、ご心配なく。さぁ、行ってらっしゃい」
もぉ。
ちょっと照れたように小さく膨れっ面を作る玲子に、祖母は大きく笑いかける。
そして、玄関の外で待っていた角野は、玲子が現れた途端に柔らかく微笑んだ。
「ちょうど、あの日みたい。とっても似合ってる」
この日の玲子の装いは、水色のワンピースにグリーンのカーディガン。
もちろん玲子だって、あの日を意識して、このコーデを選んでいる。
だが、やはり好きな人に褒められると嬉しいものだ。
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