年下フラストレーション

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「ちょっとそこの眼鏡! あんたまさか、帰るつもりじゃないでしょうね!」 「ひぇっ!」 自販機横に設けられた簡易式の手洗いスペースで、俺は壁ドンならぬ、股ドンを経験中だった。 血走った目、寝不足で浮き出たクマ、今にも俺をミンチにしてフライパンで焼きそうな勢いのこの人は、チームリーダーの町田月子(まちだつきこ)さん。 なんでこんなにピリピリしてるのかっていうと、年に数回俺たちの仕事は尋常じゃない量の案件が重なることがあって、今まさにその納期に追われ、どのチームも終業時刻が連日午前様だからだ。 特に月子さんは、その尋常じゃない量の最終チェックを夜な夜な一人でこなしているわけだから、こんなに疲れた顔になるのも無理ない。 だから、ほら。 ストレスと疲労のバロメーター、おでこにポツンと出来た通称“お怒りニキビ”が。 「ねぇ佐久間、ちゃんと話聴いて……って、ちょ、どこ見てんのよっ!」 俺がお怒りニキビを盗み見ていたことに気づいたらしく、慌てて手の平で隠す月子さん。 「カップ麺とかばっかり食べてるからですよ」 「うるっさい! 仕方ないでしょ、自炊してる時間なんてないし、毎度外食してたら破産しちゃうわよ」 「何ならお弁当作ってあげましょうか?」 「ほお……見返りは?」 「聖カタリナ女学院のJKとの合コン」 「じぇ、じぇいけいぃ!? はぁ……佐久間の女好き、ちょっと病的だと思ってたけど、ついに未成年にまで手を出すようになったか。いくらあんたが若くても高校生は無いわぁ」 ないわぁ。と、もう一度蔑むような眼で見られたけれど、俺はちっとも気にしない。 弾けるお肌。真夏の太陽のような笑顔。 新雪のように穢れの無い純度を求めるには、もはやJKしかないのだ。
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