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「俺、か、改名しようと思ってるんだ。」
何気ないトーンでしゃべることを意識したが、母は目を大きく開け、口を無造作に開けた顔で俺の顔を見ている。父は一見変わらないが一度びくっとしていた。二人に共通しているのは驚きだ。一度短くて長い時間が過ぎる。
「それは、そうしてそう思ったんだ。」
冷静な父はいつものようなトーンで聞いてきた。
「俺は大空という名前は気に入ってるし、いい名前だと思う。でも実際大空は世間一般では読みにくい名前だし、実際に読まずにそれ以上に思うのは俺はそれでいいのか。もっと…何というか…。」
食卓を見ながらしゃべっていた。ちらっと父を見る。
「続けなさい。」
ちゃんと言わなきゃ。姿勢を正し、前を向いて俺はしゃべる。
「名前に捕らわれずもっとありのままの自分で戦えるんじゃないかと。俺が未熟なせいで名前ばかり先行して、お…僕の本質を見てもらえていないような気がする。もちろん、僕をありのまま見てくれる人もいるし、実際お父さんやお母さんだってそうだと思う。だからこそそういう風に見てくれる人、認めてくれる人を増やしてから大空って名乗りたいんだ。僕がもっと大きくなってから大空に帰ってきてもいいかなって思ってる…。」
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