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琥珀色のパラフィン紙で幾重にもくるまれた星を買った。
包まれている星はランダムで、開けてみるまでわからない。私は家まで待ちきれず、その場でパラフィン紙を開いた。やがて白く輝き始めた星に、私の目はくぎ付けになった。
生命力に溢れたこの光は大鷲の心臓、アルタイルに違いない。興奮した私に、不愛想な店主が「彦星だ」と言った。「アルタイルでしょう」と答えると、彼は私が知らない天の河にまつわる伝説を話した。アルタイルには妻がいて、彼らは年に一度しか会うことが許されないのだと言う。
互いに好きで一緒になったというのに、仕事をしないことを理由に第三者から引き離されるとは気の毒な話だ。いつか私が、常にお前の側にいられる織姫を引き当てよう。
しかし星は高額な上に品薄の状態が続き、次に買えたのは一年後の夏だった。店を出て空を見上げると、天の河に雲がかかっている。インバネスに湿った空気がまとわりつき、不意に肩を叩かれて振り向けば、店主が無言で黒い蝙蝠傘を差し出した。
この時期の天候は思わしくないことが多い。雲にけぶる天の河を渡るのはさぞ難しかろう。そんなことを考えながらパラフィン紙を剥がすと、星が青く輝きだした。すわ、織姫か。そう思った私の期待はすぐに裏切られた。
それは、青白く光るスピカだった。ああ、なんという乙女違い。人気の星であることは知っているし、噂に違わぬ美しさである。しかし私はどうしても、妻が不在の彦星の元へ、彼女を連れて帰る気にはなれなかった。
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