1516人が本棚に入れています
本棚に追加
「君島くんが『お姫様』って呼んだのが、園川先輩に匹敵するほどのかわいさの子っていうのも問題だし、その相手が双子っていうのも、義理の兄弟っていうのも問題なの。分かる?」
「はあ...いや、分かんない」
「どっからどう見ても禁断の恋じゃん!」
いや、どっからどう見ても違うでしょ。
落ち着いて考えてください。
興奮しすぎで、脳が正常に動いてないんじゃないですか?
「双子の義理の兄弟が恋人ってあり得なくない?」
「人気者を次々と落としていく君島くんなら、あり得るっていうのが僕らの意見」
「え」
それは、褒められているのか、貶されているのか。
どっちなんでしょう。
しかも、僕らって誰?
「とにかく、あの2人は君島くんの弟っていうのは事実なんだね?」
「はい。事実でございます」
「恋人ってわけじゃないんだよね?」
「はい。違います」
それは、断じて違います。
分かった。隊員にはちゃんとそのことを通達しとくから、と言うクラスメイトくん。
とてもありがたい。
できる男だ。クラスメイトくんは。
「生徒会の人たちへの説明はどうしようかな。文章での通達じゃ納得してくれない気がするんだけど」
「それなら放課後に説明しに行くから、大丈夫だと思う」
「あ、そう。分かった。じゃ、そっちはお願い」
「うん」
本当に、頼りになる隊長で良かったと思います。
俺にはよく合っている気がしますよ。
敬意はないけど、その分容赦がなくて、間違ってることはちゃんと指摘してくれるので助かっています。
他の隊だったりすると間違ったことも指摘しないで、寧ろ盛り上げちゃうようなところもありますからね。
「じゃ、ちゃんと説明してきてね?」と念押しを忘れずに、クラスメイトくんは席を立ちます。
「はいはーい。ありがとね」と手を振ると、クラスメイトくんも手を振りながら出ていきます。
すると、入り口付近で立ち止まるクラスメイトくん。
誰かと話しているのかな。
手を振るのをやめてそれを眺めていると、話し終わったのか、クラスメイトくんはそのまま教室を出ていきました。
それと入れ替わるようにして入ってきたのは、エースくんを先頭に、さっきまで食堂で一緒にいた顔ぶれ。
俺と目が合うと、歩み寄ってくるエースくん。
「近藤と話したか?」
エースくんは、ちゃんと『近藤』呼び。
呼び捨てなのは、去年一緒のクラスだったからです。
何回か、一緒に話しているところを見たことがありますし、仲はそこそこ良いと思われます。
「うん。さっきの食堂のことでちょっとね。なんか言われたの?」
「ああ。ちゃんと見張っとけって言われた」
「あはは」
なるほど。クラスメイトくんは、エースくんを俺の見張り要員として考えているみたいですね。
まあ、現状そんな感じですけど。
「あいつらは?どうだった?」
「お前のことめちゃくちゃ聞いてくるから、適当に答えといた」
「そっか。ありがとう」
自分が勝手に逃げておいて、あの2人を食堂に残してきたことが心配になります。
なにか壊したり、騒いだりしなかったでしょうか。
「迷惑とかかけなかった?大丈夫だった?」
「騎士くん、心配しすぎ。大丈夫だったよ」
「ん。大丈夫」
エースくんは大丈夫そう。
他の2人にも聞いてみると、大丈夫だった、とのこと。
「そう。良かった」
そりゃあ、心配にもなりますよ。
だってあの2人は歩くトラブルメーカですから。
10秒だって静かにしていられないんです。
中学時代も、何度トラブルを引き起こしたか分かりません。
でも、それも今までの話。
高校生になって、2人も大人になったはず。
高校では静かに、問題を起こさずにいて欲しいんですけど。
...無理だろうな。
そして、俺はその後始末に駆り出されるのでしょう。
中学までの日常が戻ってきたって感じですね。
今のうちに、風紀の人たちに「よろしくお願いします」って言いに行こうかな。
いや、先に謝っておく方が良いかもしれません。
最初のコメントを投稿しよう!