1人が本棚に入れています
本棚に追加
星降る丘
恋をした。
星が綺麗な夜だった気がする。
確かには覚えていないが、多分そうだった。
それくらい僕の内側に走った衝撃は、ディープインパクトのように大きく強く、同時に恐ろしいものだった。
お母さんと喧嘩するとよく行く、星が見える丘に走る。
喧嘩の理由は特にない。
ただ酒癖の悪いお母さんがまた酒に飲まれて僕に逆ギレしてくる。
いつものことだ。
何ら特別でもない、ただの日常。
ただしその日常は白と黒と少しの青でできている。
丘の頂上に着くとその日常に色が着いた。
見知らぬ女の子が立っていた。
僕に気づいたその子の顔を見た時、体の中を彗星が走った。
稲妻じゃない。彗星だ。ディープインパクトだ。
「星は、お好きですか?」
女の子の第一声を聞いてさらに彗星が走る。
いつもより星が綺麗だ。
「はい。大好きです。」
ようやく絞り出した声は、自分が思った以上に情けない声だった。
最初のコメントを投稿しよう!