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出会い
俺の名は人志。サラリーマンだ。毎日朝8時から夜9時まで働いてる。
最近は残業もひどく独身のために癒やしてくれるものもいないため精神的に疲弊しきっていた。
「あぁ、今日も上司の気まぐれには付き合ってられなかったな」
と、一人で愚痴をこぼす。
夜も遅くなりあちこちの切れかかっている電灯を見ると中々怖いものがある。
こんな大人の男性を襲うやつなんていないとは思うが、、、。
「まぁ、美少女だったり美人なおねぇさんが居たりするなら襲われるかもしれないな」と、そんなことを考えているとふと前方の電灯の下に誰かが手ぶらで立っているのに気づいた。顔は見えないがそこそこ背が高くスラっとしている。
別に人がいることなど当然のことで通りすぎようとすると
「ねぇ」
と、そんな言葉が聞こえた気がした。どうせ空耳だろうと思って歩いていると後ろからついてきている気配がした。少し怖いので電灯の下に行って後ろを向くと少し離れたところでさっきの人がこちらに向かってきていた。
「あの、なんでしょう?」
そういうとその人は止まり、つけていたマスクを外した。どうやら女性らしい。髪がボサボサで長いため分からなかった。
「ねぇ」
そういって空耳に聞こえた言葉をもう一度言った。
「私可愛い??」
そういって彼女は顔を上げた。なんと彼女は口の端が切れていた。
当然びっくりして何も言えず、出来ず固まってしまった。しかし、
「!!!」
何も言ってないし動いてもないのに彼女は急にまた下を向いてマスクをつけてしまった。どうしてか耳が真っ赤になっている。そして俺は
「可愛くない」
と、はっきり言った。怖さが尋常ではなかったのだが他に気になることがありそっちのほうが気になった。
「え?」
「だから可愛くない。髪もボサボサ、長すぎて鬱陶しいし肌もガサガサ。年齢がわかんないけど女性なんだから手入れしなさい。後口の端が切れてるから医者に見てもらったほうが良い。」
「え?え?」
そういって彼女は混乱していた。
「じゃ」
そう言って俺はそそくさと<怪しい女性>から逃げるように帰った。
「カッコいい、、、好き、、、」
一人道の端に立ったままの女性は頬を赤くして呟いたのだった。
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