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努力
私の名はミカ。口裂け女だ。世の中には私と同じように人間と偽っている妖怪が少ないが存在している。毎日働いてご飯を食べ、寝るという人間と同じ生活をしている。何が違うかといえばやっぱり各妖怪の役目や課題をすると言ったことだと思う。
近所に住んでいる垢舐めのアーちゃんは毎日浴槽を舐めている。同じように私は毎日課題である「口裂け女として人間を驚かす」事をしている。
そして昨日私はあろうことか人間に恋をしてしまった!
名前はわからないが少しぼーっとしたところや声、スタイル、顔。はっきり言って一目惚れしてしまった。
しかしなんと「私可愛い?」と言って驚かしたら可愛くないって!
その後3日間ショックで寝込んでしまった。
しかし私は決めたのだ!何があろうとも絶対キレイになって彼を振り向かせると!
私は現代技術を使ってあらゆる手を使って綺麗になれるように努力した。
彼が髪の話をしたから美容室という所へ行きマスク外せといわれひと悶着があったがなんとか外さずに切ってもらえた。美容師さんも思わず「お、おぉ、これは凄い」と言ってしまったほどだった。
次に肌について治すことにした。美容液や保湿クリーム、ニキビ対策などあらゆることをした。情報がいろいろあって余りどれが本当か分からなかったが。
「そう言えば前のアレはなんだったんだろうなぁ」
そう言って俺は1ヶ月前に歩いた通りを歩いていた。あの日以来なんとなく彼女に会いそうな気がしてこの道を使わずに居た。
ちなみに俺はアイドル事務所の一角で働いている。つい彼女に仕事の癖でいろいろ初対面なのにダメ出しをしてしまった。今度会ったら謝ったほうが良いのだろうか。そんなことを考えていると前方に人影が合った。多分彼女だろう。俺は少し怖いが近づいていった。まだあんなにボロボロのガサガサだったら俺の仕事心が黙ってないだろう。そうして近づくと
「あ、、、あの、私綺麗になりましたか?」
そう言って彼女が話しかけてきた。謝ろうとしたのだが先を越されてしまった。
「ん?」
彼女がマスクを外した。うぉ、まだ口が裂けてる。こわっ、痛そう、、、。
そして彼女を見ると以前よりも断然綺麗になっていた。が、
「随分良くなったがやっぱりまだダメだ。髪はもう少し慎重に洗ったほうが良いし情報に惑わされたんだろうが化粧品の使い方が全くなってない。」
そう言ってついダメ出しをしてしまった。
「あ、、、はい、、、。すみません。」
彼女はどんどん小さくなっていく。なんだか悪い気がして
「元々の素材はめちゃくちゃいいから頑張ればアイドルも目指せる。そんくらい可愛いんだから頑張れ」
そう言って立ち去ることにした。結局謝れぬまま。
「もっと頑張らなくちゃ。」
そう言って再び彼女は一人で呟いた。
「はぁ、、、好き。」
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