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3の宇宙
彼とはとてもいい仲だった。共に温泉に行ったり、同じクラブだったり、付き合いも4つの宇宙の中で最も長いだろう。彼の宇宙はなんとも親和性のある宇宙であった。人を惹きつけ話さない。まるでブラックホールだ(2の宇宙とのそれとはまるで異質である)。決して良くも悪くもない。そのままブラックホールなのだ。彼のその才は天性のそれだ。同時に良識と見識に優れ何をとっても非の打ち所のない宇宙であった。4つの宇宙の中で私を忘れていないのは彼くらいではないであろうか。(ここで言う忘れていないは、その付き合いの中で私の事を少し細かく覚えている事である。)私が思うのはその宇宙が自分から遠ざかっていくのではないか。それだけだった。それが恐ろしく怖い。1度引き寄せられた分その反発は大きいのではないか。それに恐れ、その宇宙と関わる時は自分が弱くなるのがわかる。しかし、彼と2人でいる際は彼は皆の前では言わないことを言う。そんな彼を前に私は嘘をつくこともある。申し訳なさと、怖さに折り合いをつけている。友と宇宙に詫びなければならない。
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