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4の宇宙
彼の宇宙はあまりにも輝かしかった。光の中にあった。いや、その光が宇宙なのだろう。彼といるとその光に照らされこちらの罪悪感、悪、劣等感、すべてのものが浮き出してくる感覚になる。彼といることはとても多かった。学校の帰り道はほぼ一緒であった。彼がほかの人と帰るのを見ると彼が取られたのではないかと少し靄のかかる思いだった。(これは色恋の劣情などではなく、単純に私を輪の中から引きずり出さんとする者の思惑ではないかとの思いであった。)光は男子に説明するならばただの優しさだけではない。ただの賛同を繰り返す者では無い。意思は彼を取り囲み、しっかりとした土台を作っていた。しかしその土台はどの宇宙と絡み合ったとしても崩れることなく、崩すことも無い。如何にしたらこの宇宙は形成されるのであろう。分からないことだらけだ。この宇宙は天性のそれではなく、後天的な宇宙では無いだろうか。しかし限りがないのだ。今までと違い闇では無いのだ。光なのだ、異質なのだ。唯一無二な宇宙だ。
私の持つ宇宙。彼らの持つ宇宙。これから出会うであろう素敵な宇宙たち。今まで出会った宇宙たち。どれもまた近寄り難く遠ざかり難いのだ。それでもこれで、この宇宙で生きていくことを余儀なくされた小さな宇宙の事である。
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