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異世界転生は残酷だ
...ここはどこだ。俺は。
「おーい、起きろ!」
そばで大声を出す男がいる。うるさいな。
「分かった今起きる」
「まったく、早く着替えろ。今日は勇者様ご一行がこの村に訪れるんだからな」
勇者?なんだそれは。まるでファンタジーの世界じゃないか。
「なにいってんだ?」
「お前寝ぼけてんのか?早く起きて畑仕事だよ!」
半端強引に着替えをさせられた俺は、朝食の席に座らされた。もう一人、女の子がテーブルについていた。
「お兄ちゃんおはよ」
お兄ちゃん?俺に妹なんていたのか?まあ適当に話を合わせよう。
「おはよ、今日の朝飯は...」
...ごくごく普通の朝食だ。だが俺には豚の残飯にしか見えなかった。俺の体は人肉しか受け付けないのだから。
「いらねぇや」
「食わねぇと働けねぇぞ、無理してでも食え」
なんと言うことだ。この俺の人肉で出来た神聖な体に、こんな汚らわしいものを流し込むなど。第一、俺は水分は酒か水か血しか飲めない。なのにここにあるのは牛乳だ。なぜ家畜の乳を飲まなければいけないんだ。意味がわからん。
「...またあとで食う。とりあえず...畑仕事をやらんとな」
「ふぅん、そんな張り切ってんなら俺も付き合うぜ」
その男はパンを咥えながら言う。ありがたい。畑仕事などなにもわからんからな。
その後は、一から畑仕事を怪しまれないように教えてもらっていた。そのとき、村の入り口から馬車の音が聞こえてきた。
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