1人が本棚に入れています
本棚に追加
/67ページ
ここを出たら私がするべきことは決まっている。
あのベンチに腰掛けて、また私は待つつもりだ。
でも今度待つのは怒りや悲しみからじゃない。
彼がもしそこに来たなら、もういちど巡り会えたら。
「ありがとう」じゃない。それはもう言った。
「こんにちは」なんてのでもない。
私は彼に「はじめまして」と挨拶をするのだ。
生きた身体で、血の通う身体で、彼に向かって、感謝を忘れず、友情を抱いて、
ついでに、
――もしかするとちょっぴりの『愛』を、この胸の奥に隠して。
<完>
最初のコメントを投稿しよう!