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星降る夜にさようなら
「夜空の星が一斉に空から落ちてきたら、どうなると思う?」
授業中、急に放った先生の一言にクラスは苦笑の嵐であった。
先生は手を挙げるアクションをしながら、誰かのアンサーを待っていた。
残念ながら、そんな現実味のない質問にまともに手を挙げて答える猛者などはさすがにいなかった。
『先生ー!頭打ったんですか?頭のチャンネル大丈夫ですか?www』
『星が降ってきたら、私たち死んじゃうんじゃない? でも、なんか3D流れ星みたいでキレイそう!www』
『先生の禿げ頭に落ちてくるんじゃないんですか?光っていて丁度いい目標だったりして??www』
『恋人早くつくって、満開の星空で公開プロポーズしたらどうですか?私たち見ててあげますよ!www』
アハハ…ギャハハ…と馬鹿げた笑いに包まれる教室…。皆、手を挙げずに、紛れるようにして、思ったことを口にしていく。
先生は下向き加減だったが、口許を緩ませているように見えた。
カッカッ
先生はプリントと教科書を机の上で、整頓させて、
「では、今日の授業はここまでです。皆さん、今までありがとうございました。私は本日をもって、この学校を…いえ、先生を辞めることになりました。…皆さん、良い人生を送ってくださいね。夜空の星たちに逆に観測されるような人生は嫌ですね…。さようなら…。」
そう言い残し、先生は教室を出ていった。
『えっ…なに…なに。。』
ざわつく教室。理解が追いつかない者、興味を示さない者、喜ぶ者、ほくそ笑む者、配信する者…そして、飛び交うコミュニティメッセージ着信のバイブ音…。
その一件は新しい先生が赴任し、時が経つと、忘れ去られていく。
中には、この瞬間をいいねと待ちわびている者もいたが…。
______
先生が学校を辞めてから、1ヶ月後……
空からキレイな閃光弾…流れ星が無数に地上へと落ちてきた。
一瞬の出来事であった。
その全てが跡形もなく消え失せた。
一体何が起こったのか…?
唯一残ったある生徒の机の引き出しにあった
不可解な書類を見てみよう。
ーーーーーーーーーーー
『惑星生態調査録…』
二人一組の編成で惑星生命の生存価値評価基準適正可否を調査。
学校教師という職業にて潜伏…
【可】……全生存数を確認し、次回目標値を定め、速やかに惑星から離脱。
【否】……継続可能標準的環境レベルと照合し、ラインを満たさないのであれば、爆破後に領域空間から離脱。
ーーーーーーーーーーー
これ以上は燃え尽きていた。
『星降る夜に…脳天は輝く…か。アップロード完了!っと。』
僕はそう言い残し、先生と一緒に新しい惑星へと向かった。
【終】
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