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「なにか、お話をしてくださいませんか?」
「わしの裏稼業を知っちょって聞くのやか?」
椿は「えぇ、もちろん」と答えて近くにあった小箱から小さなお守りを出す。
「私のお守りは効くでしょう? その筋の人には好まれているのですよ。あなたの仕事の手伝いにもなったはずです」
香が少しついたお守りはこの界隈のごく一部に浸透していた。
椿の守りは強い縁切り守りだ。
魔との縁切り、厄との縁切り。
そんなお守りを買った人間は大きな怪我など一つもなく無事に帰ってくる。小鳥遊も利用者の一人だ。小心者の彼はお守りがなければ裏仕事ができないと騒ぐまでに盲信している。
「噂で聞きましたよ。机を叩いて死者を呼ぶ呪いが流行っているとか……。それで数人お守りを買いに来ましたね」
「ほにほに。わしも一度見せてもろうた。ターニングテーブルというらしい。やけんど、あれはイカサマやろう」
「イカサマ?」
「最初から『或る』と信じ込んだら『或る』んちや」
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