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プロローグ
少し、昔の話をしようか。
きみはよく、ぼくが――ぼくの家族の仲がよすぎると拗ねていうよね? その理由。
ちょっと長くなるけど、つきあってくれるとうれしく思う。
まえに話したことがあったよね、ぼくは養子なのだと。
実は、養子なのはぼくだけじゃないことは、いったことあったかな? 弟も、妹もそうなんだ。
……うん、ぼくの家族は、みんな血が繋がらない。
だから、かな? 仲がいいのは。
普通に血の繋がりがあれば、それに甘えて無遠慮に振る舞っても平気だよね。だって、家族の繋がりが途切れることはないのだから。
でも、ぼくたちは違う。
いつ、どんなかたちでこの『家族ごっこ』が終わってしまうかわからないんだ。
ぼくは、それに恐怖している。弟も、妹も。だから、両親に嫌われないように、見捨てられないように、いい子でいようとしていたんだ。
両親は、きっとそれに気づいてる。だから、ぼくたちを不安にしないよう、気を遣って、むちゃくちゃなりにいい親であろうとしてる。
――家族なのに、ね。
でもね、でも、ぼくはそんな環境が嫌いじゃない。
血の繋がりがないぶん、一分でも多くいっしょにすごそう、いっしょにすごした時間や思い出をよすがに家族であろうとするみんなが、とても愛しい。
だから、ぼくたちは仲がいいんだ。
今日、きみにこの話をしようと思ったのはね、なにもきみのやきもちを解消するためじゃない。
もっとほかにちゃんとした理由があって、……それは、あとでいうよ。
だから、ぼくの生い立ち――ううん、ぼくの家族の成り立ちを聞いてほしい。
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