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校門をくぐると、陽菜は自転車置き場を探すため辺りを見回す。校門の近くにいた教員らしき男の人が近づいて来て場所を説明してくれた。私と陽菜はその人にお礼を言って、一緒に自転車置き場に向かう。
陽菜が自転車を置くのを見届けてから校舎の入り口に向かう。校舎前には人だかりができていた。どうやらクラス分けの紙が張り出されているらしい。陽菜が私の耳元で話しかけてくる。
「こういうのってさ、同じ出身校同士って一緒のクラスにならないんだよねー」
「あー、確かにそうかもね」
「寂しかったらいつでも会いに来ていいよ」
「助かるわー」
「その感じだと絶対来る気ないよね」
張り出されている紙の前に来ると左から順に見ていく。陽菜がすぐさま自分の名前を見つけたらしい。
「私、一組だ。葵はどう?」
「私も一組」
お互いが一緒のクラスだと分かると、陽菜が私の肩に腕を回して、笑いながら喋りかけてくる。
「やっぱ、私達って離れられない関係なんだね」
「なんか、その言い方だと良からぬ関係みたい」
陽菜とクラスが一緒なのは本当に喜ばしいことだった。私はかなり人見知りすることが多いので、中学時代も友達が多いほうでは無い。陽菜の存在は私にとってとても大切なものだった。友達の多い陽菜はそう思ってないかもしれないけど。
「じゃあ、教室行こうか」
陽菜の言葉に促されて、私達は教室に向かうため昇降口に入って行った。
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