最終章

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「本来なら眉をしかめられてしまう関係を、許容してくれているだけでもありがたいのに…」 そう呟く兄さんに 「まぁ…蒼ちゃんと田中さんで免疫出来てた。とは言ってたかな?」 と答えると 「う〜ん…納得行かないけど、あの2人に感謝すべきかな?」 って苦笑いを浮かべた。 「でも…母さんはきっと、蒼ちゃん達の事が無くても、俺達の味方だったと思うよ」 そう呟いた俺に、兄さんはそっと頬に触れて 「そうだな…。無敵なあおちゃんのお母さんだもんな」 そう呟いてキスをした。 触れるだけのキスを繰り返し、俺が兄さんの首に手を回すと舌が差し込まれる。 舌を絡め、そのまま押し倒されて首筋に唇が降りて来た。 そのままギュッと瞼を閉じると 「ピンポ~ン」 と、チャイムが響く。 無視無視!って、唇を重ねようとすると 「ピンポンピンポンピンポンピンポ~ン」 と鳴り続ける。 誰だよ!こんな時に! って、インターフォンに出ると 「やっぱり居た!」 と、何故か蒼ちゃんの声。 「蒼ちゃん?」 驚いて言うと、兄さんがガックリと項垂れている。 オートロックを開けて 「え?蒼ちゃんってエスパー?」 と、思わず兄さんに呟いてしまった。 しばらくして、玄関のインターフォンが鳴る。ドアを開けると、目を座らせた蒼ちゃんと、俺に手を合わせて「ごめん」をしている章三の姿。 「あれ?田中さんは?」 と聞くと 「出張中。それで実家に戻ったら、あおちゃんの家に布団が干してあったから、驚いて来ちゃったよ」 そう言って笑顔を浮かべた。 「インターフォン。鳴らしたのに、出るのが遅かったけど…何してたの?」 笑顔が怖い蒼ちゃんが、半分兄さんに向かって聞いてくる。 「兄貴!いい加減にしないと、葵に嫌われるぞ」 呆れた顔をする章三に、俺はこっそり近付いて 「もしかして…お前も邪魔されてるのか?」 と聞くと 「田中さんが出張とかに行くと、マジで迷惑。荻野は諦めてるけど…」 そう呟いて溜め息を吐いてる。 コソコソ話をしていると 「そこ!何をコソコソと!」 って、蒼ちゃんが叫んだ。 結局、俺達が帰宅するまで蒼ちゃんは居座り、ご機嫌で帰宅した。 「やっぱり、あおちゃんが此処に居ると落ち着く」 俺に抱き着いて話す蒼ちゃんを、兄さんは諦めた顔をして見ていた。
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