第1話 バイト探し

2/2
前へ
/212ページ
次へ
 昨日の夜からインターネットも使って条件の良い求人を探しているのだがこれといったものは見つかっていなかった。  職種は飲食店でもスーパーでも何でも良かったし、夏は金稼ぎに専念するつもりなので深夜バイトもありだと思っていた。  でも、ちょっと勤務場所が遠かったり忙しそうに見えたら気分が乗らなくなる。スタッフ達が笑顔で映る写真が載った求人も嫌だった。  条件が良くてもスタッフ写真付きだとなしになる。めんどくさく見えてしまうのだ。同僚たちとこんな風に仲良くならなければいけないのかと、スタッフたちの顔が良くても悪くても気に入らない。  元から人間関係が出来上がっている場所に一人で入っていきたくないし仲良くなれる気もしない。凛太はただのバイト仲間として黙々と仕事できる職場が良かった。コミュニケーション能力が低いと自分で思っている訳ではないけれど。  今日中には決めて応募先へ電話してしまうつもりだった凛太はもう一周求人雑誌を見て特に目ぼしいものがなければ、いくつかチェックしている求人の中で最も時給が良いところに決めることにしていた。  未経験者歓迎……駅から徒歩5分……土日休みOK……様々な謳い文句が書かれた求人を一つずつ時給重視で審査する。そんな時に凛太の目に留まったのは「時給1800円~」という破格の文字だった。  最後にじっくり見た今回以外は気づけなかった、紙の端っこに小さく書かれているその求人。。どうせ特別な免許や資格がいるようなものだと思いながらも詳しく見てみると「未経験者歓迎♪」とも書かれていた。  ――「睡眠治療サポート 病院雑務」、凛太はバイト先をすぐにそこへ決めた。
/212ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加