第2話 応募電話

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「そうなんですか」 「そうそう。ようやってくれとるよ。じゃあ草部君だっけ。とりあえず面接せんといけんね」 「はい」 「いつ頃来れる?」 「自分はいつでも大丈夫です」 「今夏休みだもんね。じゃあどうしようか。早いほうが良いし、明日とか明後日とかでもいい?」 「はい。大丈夫です」  明日という提案を受けて、凛太もなるべく早くバイトを始めたかったので深く考えずにすぐ了承した。 「大丈夫なら、明日にしようか。明日の夕方、午後6時ぐらいでいい?」 「はい。明日の午後6時ですね。了解しました」 「うんうん。いやあちょうどあと一人か二人バイトの子がほしくてね。たぶん問題なければ採用するから遅れずに来てね」 「はい」 「来るときは履歴書書いて持ってきて。証明写真は無くてもいいから。あとは……なんか質問ある?」  凛太はさすがに明日だと証明写真を撮りに行くのがめんどくさいかと気になっていたので、いらないと言われて安心した。そして、質問を探す……。 「医療の免許とか資格持ってないんですけど大丈夫なんですよね」 「うんうん大丈夫。看護師みたいなことはしなくて患者の快適な睡眠を助ける為に色々やってもらう仕事だから。一応肩書きは看護助手になるんかな。看護助手は免許いらんのよ」 「そうなんですか。分かりました」 「他は質問ない?」 「はい。ありません」 「じゃあ……こっからが重要なんだけどね……メモを取る準備してくれる?」  馬場はそこから、なぜだか声を潜めるように小さくして続きを話した……。 「着いたら必ず正面の入り口からではなく裏口から中に入って……。それで、開けた裏口の扉は必ずしっかり閉めてくれるかな……。廊下を進んで3つ目に見えた扉が僕の部屋だから……。そこに行くまでは窓や扉から他の部屋の様子を探らないで……そして、僕の部屋の前に来たらあまり音を立てないように小さく扉をノックすること……」  言い終わると凛太が聞き返す前に電話は切られる。通話終了の無愛想な音が聞こえてきてもすぐにはスマホを置けなかった。  変な通話の終わり方を奇妙に思いつつも、とりあえず面接の約束をつけられたことに胸を撫で下ろした凛太は立ち上がり、冷蔵庫のお茶を飲む。  電話の緊張と最後に馬場が言った謎のルールのせいで凛太は嫌な汗をかいていた……。
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