星降る夜よ。小人にまた会いましょう。

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星降る夜よ。小人にまた会いましょう。

 僕の生まれた場所は誰から見ても田舎で田舎と呼ばれる日本の端に住む人たちも田舎と呼ぶくらいの田舎だ。通う小学校も廃校の噂が常に飛び交う小さな学校。生徒も十人しかいない。  そんな小さな学校ならば、みんな仲良しだと思う?正直そんなことはない。たった十人の学校でたった一人のいじめられっ子が僕だ。滑舌が悪くてよく言い間違いをする。理由はそれだけ。いじめっ子は誤魔化すのが得意だ。先生にはいつもふざけていただけですとヘラヘラ笑いながら言い訳をする。僕は何も言えずに下校の途中で涙を拭う。負けたくない。言いたくない。毎日、目を腫らして帰る僕を気にしたのか、三年生の夏にじいちゃんがある秘密を教えてくれた。 「泰介(たいすけ)、畑に行くぞ」  夏休みも近くなった七月の夜。じいちゃんはそう言って僕の手を引いた。じいちゃんは畑にはいつも軽トラで行くのに、その日は歩きだった。空を見上げれば満天の星空。僕は空を見上げながらじいちゃんと歩く。 「これからじいちゃんの秘密を教える。それを知っているのは天国のばあちゃんだけだ。だから泰介、この秘密を教えるのはこの世の中で一番大切になった人だけに教えるんだよ。一生かけて出会っていく人の中で一番大切な人にだよ」  大げさだった。きっとじいちゃんなりの励ましなのだろう。そう思っていたのに夜中の畑につくとその予想は大きく裏切られた。
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