サララとサラサ 最終章

2人の容疑者

更紗が弁護士として、また執行者として生活していた時間軸でもサララはトップアイドルで有名芸能人だった。

そのサララがレイプ絞殺された後の結果を更紗は2つの時間軸で体験していた。
1つは長谷部堅治が容疑者となり証拠不十分で釈放された時間軸ともう1つは長谷部堅一が逮捕され全てを認め死刑を懇願した時間軸だった。

サララがデビューした頃から周りでは似ていると噂になり更紗は頻繁に間違えられて追いかけられたりして迷惑この上なく嫌気が差していた。
ところが自分もお茶の間弁護士としてTVに出るようになり人気を博すと何となくサララとの距離が縮まったように感じていた。
TV局のプロデューサーはサララと瓜二つの更紗との共演に向けて動き出していた。この企画が実現すれば間違いなく高視聴率を稼げるはずだった。
しかし悲劇は起こった。

この事件は謎が多かった。
何故サララは犯人を部屋に入れたのか？
マンションのセキュリティは完璧で部屋に入るには3重のロック解除が必要で本人が解除しなければ絶対に入室出来ない。
しかも以前 複数のファンがその犯人とサララが会話しているのを何度も目撃している。
犯人はサララをレイプして絞殺した後、一旦は逃げたがサララのマンションに戻って玄関ホールで大泣きしているところを逮捕された。

長谷部堅一　62歳　無職。

長谷部は弁護無しで全ての罪を認め死刑を懇願した。

更紗はサララを不憫に思ったが殺されてしまった以上取り返しがつかない。
でも何か違和感を感じていた。
何故 犯人は現場に引き返し大泣きしていたのか...
自分がしでかした事の大きさに気付き戻って泣いていたのか...？

そうじゃない...きっと別の理由がある。
更紗は心の声の疑問符が徐々に大きくなっていくのを感じた。
それに長谷部と言う名前にも何かしら心に棘のように引っ掛かっていた。

そして決心した。
犯人の長谷部に面会しよう...と。