2人の容疑者

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「え? 今なんと言いました?」 「あっ、いえ... 年は62... 生まれは京都... ああ、無職...です。 弁護士さん... 私しゃ死刑になりたいんです。 裁判なんてものも要りません。 刑事さんにも言いましたが... 人を殺しといて後の始末もしないで勝手に死ねると思うな... って言われました。 確かにそうです... ムシのいい話ですよね。」 「どれほど後悔しても もう取り返せないんです。 あなたが起こした犯罪で失われてしまった命は... わたしはもう席を立ちたい気分ですが、 1つだけ教えて下さい。」 「どうやってあの子の部屋に入ったのか? ですね... 皆さんから何回も何回も聞かれました。 それはそんなに重要ですか? ある日わたしはあの子と出会った。 そして遠い昔話をしたんです。 あの子は大きな目をさらに丸くして... ...ああ、いいんです... それがこんな事になってしまうとは... ただそれだけです... 私の欲深さと浅はかさ... 何度も戻って繰り返してみたものの必ず犠牲が必要だった。」 「つまりあなたの狂った欲とエゴでサララさんをレイプし殺した... ...救いようのない人... あっ、訂正します。」 「いいんですよ。 私はどんな時間軸にあっても皆さんと楽しく過ごした記憶がしっかりと刻まれている。あの場所で泣きじゃくっていたのはもう1度...」 長谷部がそう言いかけた時、彼の背後が眩しく光った。 更紗はその瞬間 頭の中で画像が走馬灯のように流れるのを見た。
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