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サララ、桜子、美代それに自分と長谷部。
皆んな楽しそうに夜の浜辺を歩いていたり、サララと桜子と何事か相談しながら食事をしていたり、サララが撮影をしているのをドキドキしながら見ていたりとか...。
サラサは光の粒がその1つ1つの場面を映し出して記憶の壁にハッキリと焼き付けられるのを感じた。
ポロポロと涙が溢れ出して堪え切れずに声が漏れた。
長谷部の後ろに居た刑務官がその様子に気付き、
「悠木先生大丈夫ですか?」
と声を掛けて来た。
サラサは目頭を押さえながら、
「大丈夫よ...大丈夫」
と右手を上げた。
その時もサラサの記憶には次から次へと時空の違う光景が湧き上がっていた。
「もう終わりにしましょう...
私はすっかり疲れてしまいました。
何度も悲しく辛い出来事を経験しました。」
長谷部がそう言うと、
「いえ...わたしは今、始まったばかりです。
そう...確実に経験した事だったのに記憶を封印してしまった。
きっと辛過ぎてそうしたのかも...
でも卑怯ですよね...それは。
やはりわたし達で解決しなければ...
でしょう。
ただお母ちゃんを襲ったのはあなたじゃないし、
きっとサララもそう...
あの地下室に居たあなたに似た異常な人でしょ。
あの時の光景は昨日の事の様に思い出せる。
ただあの後の記憶が戻らない。」
サラサは穴の空いた透明の壁に顔を近づけて囁いた。
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