サララとサラサ 最終章

復讐

「あっ！」
サラサは額に汗を吹き出しながら飛び起きた。
身体は緊張して疲れがピークに達していた。
さっきの夢は一体...。
起きようとすると頭全体に痛みが響いた。
首の後を軽く叩いているとドアをノックする音が聞こえた。

「サラサ入るよ。」
桜子はサラサの表情を見ただけで察した。

「さくらちゃん、わたし...」

「分かってる...分かるよ。
思い出したよね。
でも長谷部さんに双子の兄弟が居ただなんて...
しかも弟が美代さんとサララを襲うなんて。
あのアパートで美代さんを助けてサララもあなたも消失してしまって、わたしどれだけ孤独で不安だったか。」
桜子は一気に思いの丈を吐き出した。

「チョット待って、さくらちゃん。
わたし随分 思い出したと思うけど多分忘れてしまった事さえ忘れてる。
だから区別しないと身が持たないよ。
今がどういう世界なのか。
思い出した時間軸は一体どんなわたしなのか。
それにどれだけの時間軸をわたし達は彷徨っているのか。
それをちゃんと整理しないと...
出来ないのかな？
でもやらなきゃ...」
サラサはこめかみを押しながら言った。

「きっとわたし達3人で過去のある時点へ行く事が時間軸の負荷を増大させて時空のバグみたいな事が起きたんじゃないかって思うの。
例えば時間軸が混ざり合ってしまうとか、
よく言うタイム・パラドックス的な何か...」
桜子は洗面台から持って来たタオルでサラサの額の汗を拭きながら言った。

「ねぇ、さくらちゃん...」

「ん、なに？」

「わたしを抱きしめて」

「・・・」

「汗かいてるから...ヤダ？
抱きしめてくれたらこの頭痛は消えそうなんだけど...」

「それって何となく分かるけど...
まだ思い出せないの...
サラサとそんな関係だったなんて思ってもみな...」
桜子が話し終わるのを待たずサラサは素早く動いた。