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長谷部堅一さんを探せ
サラサと桜子はどうしても長谷部堅一を探し出さなければならなかった。
この時間軸では悠木美代はサラサの母親で一緒に生活している。
サラサはサララと言う芸名でアイドルを演っていたし桜子は快天不動産で勤めていて幸谷 仁から言い寄られていた。
つまりサララというアイドルは存在しているが本人ではなかった。
サララとサラサ 2人が存在しないなんてありえないのだ。
今まで彷徨った時間軸の中で長谷部堅一はいつも身近で特にサララの側にいた。
サラサ達が最後に覚えている長谷部との時間はあの陸前高田市の夜の浜辺。
美代と一緒に歩いた丸く大きな星々に包まれたあの夜の浜辺。
サララだったらもっと沢山 長谷部の事を知っているはずだけど...。
ひょっとしたらサララも記憶を無くしてどこかでこの時間軸の世界に存在して本当の自分を失ったまま生活しているのかも。
2人は必死に思い出そうとしていた。
そんな時 サラサがニヤリと微笑ながら、
「わたし...思い出したかも...
長谷部さん...京都だよ。
生まれは京都だった。
サララと入れ替わって長谷部さんと一緒に暮らしていた頃、何かの話の中でそう言ってた。京都で生まれて地元の国立大学を卒業したって...」
サラサと桜子は直ぐに京都へ行く準備を始めた。
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