長谷部堅一さんを探せ

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京都駅からタクシーに乗り30分ほどで大学に着いた。 校門にいた警備員に事務棟を尋ねていると学生がサラサに気付き人だかりが出来た。 サインや握手を求められて徐々に警備員も抑えが効かなくなり集まった学生達はサラサの頭を触ったり腕や肩を掴んだりし始めた。 すると、 「君達は何をしてるんだ! 女性に対して失礼だと思わないか! それでも本校の学生か!」 後の方から大きく通る声が響いた。 一瞬動きが止まり学生達は顔を見合わせ、 「ヤバ、オニケンだ!」 「行こ、逃げよう。」 「どうしてこんなトコに居る?!」 顔を伏せブツブツとボヤきながら散って行った。 「あなた方はここの学生じゃないようだね? どういった御用かな?」 薄めのサングラスをした初老の男が聞いてきた。 「あっ、わたし達 人を探してるんです。 学生ではなくてここの卒業生... しかも随分昔だと思うんですが... 失礼ですが...」 男の顔を覗き込みながら桜子が聞いた。 「ああ、私はここで教えていますが... ちなみにそのお探しの御仁は何と言うお名前で?」 「ええ、長谷部さんと言う方です。」 サラサが答えると、 「やはり時間軸が混在し始めてるのか... ...私の研究室で話しましょう。」 その男はそう言いながら歩き始めた。 「えっ、ちょ...ちょっと待って下さい。 わたし達が探しているのは...」 「長谷部ですよね。」 「はい... ヒョットして...貴方は...」 「長谷部です。 ...長谷部堅一。」 彼はサングラスを外しボサボサの白髪混じりの髪をかき上げながら言った。 2人は顔を見合わせた。
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