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「お話はよく分かりました。
でも、わたし達がここに来た理由...
お分かりですよね、長谷部さん。
サララ...です。
彼女を取り戻しに来たんです。
どうしてもサララに会いたい。
...そして抱きしめたい。」
桜子は瞳を潤ませた。
「私は桜子さんの想い以上に皆さんと一緒にいたい。
それに美代...さんも...
彼女は元気に暮らしているでしょう。
あの不幸な時間軸じゃなくサラサさんの母親として...
不幸だとすればご主人が早くに亡くなってしまった事。
しかし私が知る過去範囲ではご主人は早逝されている。
一粒種のサラサさんは早逝されたご主人からしか生まれなかった。
分かりますか?
この意味が...
つまり今の時間軸ではサラサさんしか生まれないんです。
多分、命名される時にご主人は悩まれたはずです。
サララにするかサラサにするか。
あるいはサランもあったかもしれません。
これは双子で...しかも一卵性双生児として生まれるべきお2人の時間軸の影響を強く受けていたせいです。
...ですから、この世界にはサララさんは存在していないんです。」
「じゃあ、どうすればサララに会う事が出来るんでしょう?
彼女はきっとわたし達と一緒の生活を望んでいる筈です。
どうか教えて下さい。
長谷部さん...
もう頼る人は他にいないんです。」
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