長谷部堅一さんを探せ

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「長谷部さん、この時間軸ではサララはいないんですよね。 それは絶対に間違い無い事ですか? もう一度確認させて下さい。」 サラサは口を一文字に結んだ。 「ええ、この時間軸には絶対にサララ...さんは存在しません。」 長谷部は緩やかな顔で答えた。 「分かりました。 じゃあ失礼します。 お忙しいのに長時間お付き合い頂きましてありがとうございました。 さくちゃん...帰ろ。」 サラサはペコリとお辞儀をした。 「サッ...サラサ、 ほんとにもういいの? このままでいいの? わたしはヤダよ。」 桜子はサラサの腕を掴んだ。 「長谷部さんに頼る事は出来ないし、この世界にサララが居ないんだったらわたし達が行くしか無いじゃん。 サララが存在する世界に... 以前も願いの場所へ行った事あったでしょ。 だから...」 サラサが言いかけると、 「それはかなり危険な賭けになりますよ。 サラサさんも分かってるでしょ、ご自分の体調の悪さを。 日に日に頭痛が酷くなってませんか? それとも身体の動きが鈍くなっているような感覚がありませんか? それはさっき言った時間軸統合のせいです。 もう始まっているんです。 そんな時に願い場所をしたらどんな事になるのか... 想像も出来ません。 少なくともどこかの時間軸に辿り着ければいいですが... 万が一 時間軸の隙間にでも落ちてしまったら、どの時間軸にも行けずに暗闇の中を一生漂う事になるんですよ。 しかもそれだけではない... 時間軸統合が強く起きればあなた方の存在すら消滅してしまう。 サラサ...さん、 あなたも私と同じように移動力が弱くなって来ている筈です。」 長谷部は強い口調で言った。
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