あの場所へ

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あの場所へ

「桜子さんがサララさんの家に突撃した時だと思います。 ...そう、大泣きした時です。 あの後の事は記憶にありますか? きっとないんじゃないかと思います。 多分、あの時から私と皆さんの時間軸が混在し始めたと... もし行くのであればあの場所が良いと...」 「分かりました。 サララの家へ行って願い場所をします。 世田谷のサララのあの家で... でも、長谷部さん... わたし...」 桜子が言いかけると長谷部が近寄り手を握りしめて言った。 「私と皆さんとは連鎖の絆で繋がっていると信じています。 その場所の私は必ずお役に立てると思います。 でもここでのわたし達はきっと消滅してしまうでしょう。 記憶の欠片さえも残らない。 ですからここでは永遠のお別れです。」 桜子は肩を震わせながら長谷部の手を強く握り返した。 サラサは桜子の肩を抱きながら滲んでしまった長谷部の顔を見つめた。 大学を後にすると薄い闇が辺りを覆い始めていた。 タクシーの中から見る京都の街はまさしく時空が混在しているように見えた。 2人は予約していたステーションホテルにチェックインした。 次の日、京都観光の予定を立てていたが2人共その気になれずサララの待つ東京のあの場所へ直行した。
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