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わたしは頭の痛みでこめかみを押さえながら何とか立っていた。
ボーッとして平衡感覚が失われているような感じだった。
「お姉ちゃん、大丈夫?」
側で小学生位の女の子が覗き込んでいた。
チョットだけ傾けた顔の横から真っ黒な長い髪が右肩に集まり陽の光でキラキラと輝いていた。
「うん、チョットだけ気分が優れなくって...
大丈夫だよ、ありがとね。
...あなたはこの辺の娘?
小学生?」
わたしは右手でこめかみを押しながら尋ねた。
「うん、今日は土曜でしょ。
お昼ごはんはお家で食べるの。
お腹すいちゃった。」
「そうなんだ、土曜なんだね。
お家は近いの?」
「うん、ここだよ。」
その娘は大きな門を指差した。
その瞬間、光が渦を巻きながらわたしの身体を覆った。
多分2~3秒...
気付くと学生服のサララがわたしを支えていた。
困り顔のサララ...
わたし達と過ごした日々で何度となく見てきた顔。
「お姉さん、大丈夫ですか?
倒れそうになったので思わず支えてしまいました。」
わたしの心臓は高鳴り顔が火照って行くのが分かった。
まだあどけなさが残るサララがわたしを抱きしめている。
凄く久しぶりの感覚に身体が震えた。
「ごめんなさい、ありがとね。
チョット目眩がしたの...
...他に女性を見なかった?」
わたしはサラサの事が気になっていた。
「いいえ、お姉さんお一人でしたよ。」
「そう、お嬢さんはこの家の方かしら?
中学生?高校生?」
「はい。中1です。
...それでは失礼します。」
彼女がわたしの横をすり抜ける時、思い切って
「...サララ」
囁いてみた。
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