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するとサララは急に振り返り、
「え!
わたしの芸名...
どうしてご存知なんです?
デビュー前で誰も知らない筈なのに...
ヒョットしてお姉さん、芸能関係者ですか?
わたしの事、知ってるんですか?」
「えっ...
うん、どこかで会ったのかもね。
そうじゃないかなって思ったの...」
わたしはこの古い時間軸じゃなくて有名になっているサララに会わなきゃと思っていた。
それにさっきの時間軸の続きだったら婦人が言ってたようにサララは中1で消えてしまう事になる。
多分、もうじき長谷部堅治に...
レイプされて殺される。
わたしはこの世界がどの時間軸なのか知る由はなかった。
サララが家に入ろうとすると中から彼が出て来た。
長谷部堅一...さん。
大学教授をやっていたあのヨレヨレの長谷部さんではなくて、
髪も黒々として身なりもしっかり整ったわたしの知る長谷部さんだった。
昨日話したばかりなのに懐かしくて涙が溢れた。
「何かお嬢様に御用ですか?
失礼かと思いましたが、監視カメラで様子を拝見しておりました。」
「長谷部オジさま、この方は芸能関係の方みたいです。
わたしの事をご存知のようです。
芸名まで...サララって。」
「ほう、芸能界は情報が早いですね。
それだったらお嬢様の事務所はご存知ですよね。」
わたしは頭の中の引き出しをひっくり返しながら記憶を探した。
「え~っと、
....ジュ、ジュディ芸能プロですよね。
あなたは執事の長谷部さん...
このお嬢さんはラウンドアースの一人娘。
本名はサラン。
大学は東京国立大。
英検1級。
...はっ!
あのぉ...わたし...」
取り返しのつかない事を言ってしまった。
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